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第343回 「ニュートリション パフォーマンス」 スポーツスーパーフードのすすめ

「食べる事もトレーニングのうち」とよく聞きますが、プロ・アマ選手やスポーツ愛好家の間で、「食事」をストレスと感じている方が多いことをご存知でしょうか?実は、食事によるストレスが溜まり、コンディションを崩す人も少なくありません。

例えば、「身体を大きくしろ」と言われ、無理して沢山の量を食べ続けた結果、食べる事が怖く感じた力士。 「体重を軽くしろ」と言われ、無理なダイエットが原因で怪我をしたアイススケート選手。体重管理をしながら筋肉をつけたいが、忙しくて食事をする時間がないため、食事の代わりにプロテインドリンクやサプリメントを摂り続け、体調を崩したスポーツ愛好家の方もいます。

間違った知識や無理な食べ方は、アスリートウエルネスに影響を与え、知らないうちに「食」との関係が悪くなり、エモーショナル イーティング(emotional eating:感情食い・ストレス食い)に発展します。エモーショナル イーティングが続くと、摂食障害に発展する可能があります。

本来食事は、味わいながら、食べ物の匂いや色にまで注意し、よく噛んで、ゆっくり楽しむことが重要です。そして、「無理に食べる・食べない」ではなく、必要な知識と目的を持って、今の自分にできる無理のない選択をする事が大切なのです。

今回は、アスリートウエルネス(Athlete Wellness ™)に欠かせない「ニュートリション パフォーマンス(nutrition performance)」と「スポーツスーパーフード」のお話です。

ニュートリション パフォーマンスとは何か?

「ニュートリション パフォーマンス」とは、アスリート・スポーツ愛好家のパフォーマンス向上に必要な栄養素を考慮した食べ方や食事管理を指し、その方法は様々です。日本でよく見聞きするのが、消費カロリーと摂取カロリーを計算するエネルギー管理、ピリオダイゼーションに合わせた食事管理。これらは、スポーツ栄養マネジメントを通じて、アスリートの健康を管理する方法です。栄養学は非常に複雑で、専門的な知識が必要であることから、スポーツの現場では、「公認スポーツ栄養士」という管理栄養士が活躍しています。

一方欧米では、パーソナルトレーナー、S&Cコーチ、ヘルスコーチらが、アスリートやスポーツ愛好家のパートナーとして「モチベーショナルインタビュー(motivational interview:動機付けインタビュー)」等、行動変容を促すコーチングを行うニュートリション パフォーマンス コーチングが主流になってきています。このコーチングは、アスリートやスポーツ愛好家の健康を管理する方法ではなく、パフォーマンスと健康を後押しする方法です。

欧米でのこのようなコーチングが主流になってきているのには、

  1. アスリートやスポーツ愛好家が、パーソナルトレーナー、S&Cコーチ、ヘルスコーチらを身近な存在と感じており、専門的な栄養学の知識を求めているのではなく、結果を出す為に一緒に頑張ってほしいと思い、「私のことをもっと知って! 何が必要で、どのようにすればいいの?結果が出るようにサポートをして!」と、ホリスティック(統合的)なサポートを求めている
  2. 何をどのように、どれだけ食べるべきかは、その人の体型・代謝・性別・年齢・健康状態・生活習慣等の生物学的個性によって異なり、全てを標準化したアプローチに限界があることがわかってきている
  3. 自発的な行動変容を促すことにより、持続可能な結果がえられる
  4. アメリカでは登録栄養士(registered dietitian)でない限り、食事の処方をすることができない
等の背景があります。

つまり、あくまでも主役はアスリートやスポーツ愛好家。自分に必要なトレーニングメニュー(personalized training menu)を求めているのと同様に、アスリートやスポーツ愛好家は自分に必要な食べ物・食べ方「パーソナライズド ニュートリション(personalized nutrition)」の必要性を感じているのです。

「アスリート・スポーツ愛好家による食の選択の向上(nutritional behavior upgrade)」が最も大切な目的

パーソナルトレーナー、S&Cコーチ、ヘルスコーチらが行うニュートリション パフォーマンスで最も大切なのは、その目的。「アスリート・スポーツ愛好家による食の選択の向上(nutritional behavior upgrade)」です。パーソナルトレーナー、S&Cコーチ、ヘルスコーチらは、それに必要な情報を提供し、適切な食の選択ができるようにコーチングを行います。

このコーチングは、登録栄養士が行う食事の処方とは異なります。モチベーショナルインタビューを用いて、アスリート・スポーツ愛好家が自ら「栄養素の豊富な食品を適切に選択する、正しい食事を選択する」ことができるように促し、持続させる。そして、アスリート・スポーツ愛好家がパフォーマンスに必要なエネルギーを摂ることで、本来の力が発揮できるように後押しするものです。

スーパーフードをサプリメントの代わりに摂るのも選択肢の1つ

スポーツ栄養に関する声明は、アメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine)や、IOC(国際オリンピック委員会)等の様々な団体が出しています。その声明では、「食事は競技成績に大きく影響し、食べ物の量・組成・タイミングが重要であるものの、普通に入手できる多くの種類の食品から適切なエネルギーを摂れば、トレーニング・競技・回復時に必要なたんぱく質・炭水化物・脂質・微量栄養素が摂取でき、競技で結果を出すために望ましい体格や体組成を得るためには、栄養素の豊富な食品を適切に選ぶ正しい食事が重要だ」と言っています。

しかし、年齢・性別・運動量・活動量そしてライフスタイルなどの要因から、多くのアスリートやスポーツ愛好家は、常に必要な栄養素を適切に摂取することは困難と感じ、サプリメントに頼ってしまいがちです。しかし、単一成分が高濃度に含まれるサプリメントを継続摂取すると、体内における栄養バランスを崩したり、単一栄養素の過剰摂取により体調不良を起こすこともあります。また、カプセルや錠剤の形に加工し保存を可能としたサプリメントでは、栄養成分とは関係のない、保存・安定の為の成分を一緒に摂取することがあり、それがマイナスに作用する可能性もあります。さらに、科学的根拠のないものや、栄養成分表示がないままに禁止物質を含んでいるものもあり、アンチ・ドーピングの観点からも、安易にサプリメントを利用することは望ましくないと言えます。

栄養素は食事からとるのがよいことから、サプリメントの代わりにスーパーフードを摂るのも選択肢の1つです。スーパーフードは「一般の食品よりビタミン・ミネラル・クロロフィル・アミノ酸といった必須栄養素や健康成分を多く含む、主に植物由来の食品」です。

ヘルスコーチが行うニュートリション パフォーマンスとスーパーフードの活用

私がヘルスコーチングの一環で行うニュートリション パフォーマンスでは、最初にアスリートやスポーツ愛好家の食べ方・生活習慣等の癖や目標達成に必要な課題を確認します。その過程で、目標達成に必要な食の選択を4つのカテゴリーに分類してクライアントと対話します。そして、この4つのカテゴリーを用いてパフォーマンス向上に必要な食の選択の向上(nutritional behavior upgrade)のコーチングを行います。

4つのカテゴリー

  1. エネルギー(炭水化物:糖質は脳と筋肉に必要)
  2. 保護(脂質:脳の働き・メンタル・記憶・細胞の抗酸化、関節・内臓・皮膚・髪の毛の修復に必要)
  3. 作る(タンパク質:血液・筋肉など体を作るのに必要)
  4. 防御(野菜・フルーツ:ビタミン・ミネラル・ファイトケミカルによる抗酸化作用で免疫力を向上、リカバリーに必要、レインボーチェック)
    (レインボーチェックは、勝つためのコンディショニング作りに欠かせない食事のポイントを参照

私が行う食の選択の向上のコーチング(nutritional behavior upgrade coaching)の特長は、アスリートやスポーツ愛好家がおかれている環境や、彼らが感じているプレッシャー等、食事以外の課題も併せて確認していくこと。なぜならば、生活環境・生活習慣は食の選択とパフォーマンスに影響を与えるからです。そして、エモーショナル イーティングをしていないか?摂食障害のサインはあるか?等も併せて確認し、摂食障害の疑いがある場合は、専門家に診てもらうように促します。アスリートやスポーツ愛好家自ら、自分の「食べ方・生活習慣の癖や目標達成への課題」を認識することで、「食」との関係を良好に保ちながら適切な食の選択の向上を行えるようになります。

パフォーマンス向上には、食事の回数や食事の内容はもとより、食材の選択も重要なカギです。より栄養価が高く、吸収に優れ、過剰なカロリー有さないスーパーフードは、サプリメントの代わりの選択の1つとなるのです。

次のスーパーフードは、「スポーツスーパーフード」と言われ、アスリート・スポーツ愛好家の健康とパフォーマンスを後押しする食材として選択したいものです。

主なスポーツスーパーフード

エネルギー キヌア、アマランサス、蕎麦の実、大麦等の雑穀 糖質がなければ、パフォーマンスに必要なエネルギーを供給できない。これらの雑穀は、白米に比べてタンパク質、ミネラル、ビタミン等が豊富で、アマランサスと蕎麦の実はアミノ酸指数が100に近い。普段の白米にブレンドすることができる。
保護 オリーブオイル、スーパーオイル(フラックスシードオイル、ヘンプオイル、えごま油、アボガドオイル、ココナツオイル、サチャインチオイル) スーパーオイルは、オメガ3とオメガ6比率がそれぞれ異なる。理想の摂取バランスは1:4で、ヘンプオイルがこの比率に近い。効果を得たい目的と味で、どのオイルを使うかを選択するのも楽しさの1つ。
作る スピルリナ、モリンガ、ヘンプシード、マカ等 アマランサス、蕎麦の実からもタンパク質を摂取できるが、これらはタンパク質の代謝に必要なビタミンCやビタミンB群(特にビタミンB6)が豊富。質の確保が難しい場所での食事や、通常の食事に振りかけるか、ドリンクに混ぜて摂ることができる。
防御 ケール、ブロッコリースーパースプラウト、マキベリー、カムカム、クコの実、抹茶等 抗酸化作用は体内炎症・リカバリーに欠かせない。これらを普段の食事に足すことで、より多くの抗酸化成分を摂ることができる。

スーパーフードの利点は、普段の食事にチョイ足しができること。遠征先でも手軽に、栄養価が高く、バランスの取れた食事をするための補助として使えます。適切なリカバリーはコンディションを整え、トレーニングメニューをこなしパフォーマンスを向上させることにつながります。

今回は、実際にヘルスコーチングでも紹介している、手軽にできるスポーツスーパーフードのレシピをいくつがご紹介します。また、公認スポーツ栄養士の浜田綾子さんにも評価をしていただきましたので、ご参考にしてください(※)。

モリンガスムージー(2人前)
材料
  • モリンガ 小さじ2
  • 甘酒 1カップ
  • ヘンプシード 小さじ2
  • フラックスシード 小さじ2
  • 水 1カップ
  • アーモンド 10粒
  • デーツ(種を取り、切って水に浸ける) 1個
  • 白味噌 小さじ1/8
作り方 全ての材料をミキサーに入れて混ぜる。
ポイント モリンガはタンパク質の他、ビタミンやミネラルが豊富です。甘酒、ヘンプシード、フラックシード、デーツ、味噌といったスーパーフードです。複数のスーパーフードを用いることで、バランスよく栄養補給ができます。ヘンプシードとフラックスシードは植物性のタンパク質です。特にヘンプシードは必須アミノ酸全てが含まれています。タンパク質量を増やしたい場合は、ヘンプシード(1oz(約28.35g)は162カロリーで10gのタンパク質が含まれています)の量を増やしてみましょう。

【公認スポーツ栄養士 浜田綾子さんのコメント】

モリンガスムージー(1人分200ml)の栄養評価をしてみました。

  • エネルギー:165kcal
  • タンパク質:7.1g
  • 脂質:3.8g
  • 炭水化物:16.9g
  • 食塩相当量:0.18g
  • 鉄:2.4g

牛乳コップ1杯(200ml)と比較して、エネルギーが高く少量でエネルギー補給ができ、タンパク質、炭水化物も多く、トレーニング後のリカバリー食として最適なドリンクと言えます。鉄の摂取もできるため、貧血の予防にも効果的。モリンガにはエネルギー産生、タンパク質合成に不可欠なビタミンB群が豊富に含まれており、フラックスシードに含まれる油は、炎症を抑えるn3系脂肪酸であり、また、n3系脂肪酸は非加熱で摂取する方が効果を発揮するため、普段の栄養補給にもお勧めできます。

ケールのジェノベーゼソース(約200g)
材料
  • ニンニク2片
  • ケール(葉っぱの部分) 4枚
  • クルミ 40g
  • レモン汁1/2個分
  • 塩 適量
  • 粗挽き胡椒 適量
  • オリーブオイル 大さじ3(増量お好み)
作り方 全ての材料をフォードプロセッサーに入れて混ぜる。
ポイント ケールには、抗酸化作用のルティン、ビタミンA・Cが豊富に含まれています。また、タンパク質も含まれています。クルミやオリーブオイルもスーパーフードです。複数のスーパーフードを用いることで、バランスよく栄養補給ができます。

【公認スポーツ栄養士 浜田綾子さんのコメント】

ケールのジェノベーゼソース(ジェノベーゼ1食分(35g)の栄養評価をしてみました。

  • エネルギー:119kcal
  • タンパク質:1.9g
  • 脂質:11.27g
  • 炭水化物:1.8g
  • 食塩相当量:0.17g
  • ビタミンA:68μg

アスリートは運動をしない人より多くの酸素を摂取して多くのエネルギーを産生しています。その酸素の一部が細胞に悪さをしてしまう活性酸素となりますが、その活性酸素から細胞を守るのが抗酸化作用のあるビタミンA・C・E。ケールは抗酸化作用のあるビタミンAが豊富な食材で、クルミにはビタミンE、Cが含まれている他、疲労回復に必要なビタミンB1も含まれています。市販のバジルソースと比較しても、ビタミンA・Cが多く摂れ、パスタだけでなく、サラダのドレッシングなどで、普段の食事に用いることで細胞の保守となり、身体のメンテナンスに活用したい一品と言えます。

アマランザス入り玄米ご飯(3人分)
材料
  • 玄米 1と1/2カップ
  • アマランザス 1/2カップ
  • 自然塩 ひとつまみ(米粒大2つくらい)
  • 水 3カップ
作り方 玄米をサッと水洗いし、アマランサスは茶こし等にいれて良く洗い、分量の水に6時間程度つける。その後、塩を加え圧力鎌にいれて、強火で圧をあげた後、弱火で35分程度炊く。
ポイント 玄米は必ず浸水してください。炊飯器で炊く場合は、「玄米モード」で炊けます。玄米が苦手な人は、白米と一緒に炊いてもよいでしょう。アマランサスの食感はプチプチしています。アマランサスは、NASAが注目をしているスーパーフードで、植物性タンパク質は白米に比べて約10倍。また、ビタミンやミネラルも白米に比べて豊富です。

【公認スポーツ栄養士 浜田綾子さんのコメント】

アマランサス入り玄米ご飯(炊きあがった状態で茶碗山盛り1杯200g)の栄養評価をしてみました。

  • エネルギー:384kcal
  • タンパク質:9.3g
  • 脂質:4.0g
  • 炭水化物:77.4g
  • 鉄:4.7g
  • ビタミンB1:0.32mg
  • ビタミンB2:0.08mg

玄米やアマランサスは、エネルギー源として摂取したい食品です。炊き上がった同量の白米ご飯と比べ高エネルギーであり、手軽にエネルギー補給ができます。白米に比べ、玄米もアマランサスもビタミンやミネラルが豊富で、特にエネルギーを作るビタミンB群の量が多いです。また、注目したいのが、タンパク質やビタミン、ミネラルの量。白米にアマランサスや玄米を混ぜて食べることで、食事の栄養バランスも整えやすいと思います。

いかがでしたか? すぐに実践できるスーパーフードを活用したニュートリション パフォーマンスをご紹介しました。アスリートウエルネス(Athlete Wellness ™)とは、持続可能なパフォーマンスを支え、心技体のバランスを整える基盤です。食事はその中心にあるとも言えます。間違った知識や無理な食べ方は、パフォーマンスに影響を与えるだけでなく、「食」との関係が悪くなり体を壊してしまう可能性があります。是非、スポーツスーパーフードを活用し、パフォーマンス向上に必要な食の選択の向上に取り組んでみてはいかがでしょうか?

(※)日本食品標準成分表2015年版(七訂)等をカロリー計算に用いました。

Lottie

IIN™公認・米国代替医療協会(AADP)認定 ホリスティックヘルスコーチ、ACC公認スポーツ栄養スペシャリスト、ACCA公認アスレチックコンディショニングコーチベーシック、日本スーパーフード協会公認スーパーフードエキスパート

ホリスティックヘルスコーチは、Wellnessのプロとしてクライアントの価値、ニーズ、ビジョン、短期・長期目標にフォーカスをしたオーダーメードのコーチングを行います。その特徴は、人間関係・運動・キャリア、食生活等をクライアントを取り巻く環境をホリスティックにみて、生物学的個性を理解し、行動科学の手法を用いて行動変容を促すコーチングです。その過程で、「食」を通じて「心」「技」「体」のバランスを自ら整えられるようにサポートをし、クライアントが自分の体の声を聞きながら、それぞれが持つ力を最大限にいかして目標達成できるようにサポートしていきます。

ホームページ https://www.athlete-wellness.com