「ゴルフをすると腰が痛い」を当たり前にしていませんか?
「ラウンドの後半になると腰がつらい」「練習の翌日はいつも腰が重い」「腰をストレッチしているけれど、また痛くなる」。そんな経験はありませんか?
ゴルフは、前傾姿勢を保ちながら身体を大きく回旋させるスポーツです。
腰には繰り返し負担がかかりますが、腰が痛いからといって、腰だけを見ればよいとは限りません。
今回は、ゴルフの腰痛を考えるときに私が確認したいポイントの一つ、「胸椎の回旋」に注目します。
この記事では、特別な道具を使わずにできる2つのチェックをご紹介します。
1つ目は横向きで行うチェック、2つ目は実際のゴルフに近いアドレス姿勢で行うチェックです。
2つを比べることで、単純な「身体の硬さ」だけでは見えにくい特徴にも気づきやすくなります。
なぜ腰痛なのに「胸椎」を見るのか
ゴルフスイングでは、胸郭・骨盤・股関節などが連動して回旋します。
胸椎は胸の高さにある背骨で、上半身の回旋に関わる重要な部位です。
もし胸椎や股関節など、本来動いてほしい部位の動きが十分でなければ、別の部位で動きを補うことがあります。その結果として腰部の負担が増える可能性があります。反対に、可動域そのものはあっても、スイングになると上手く使えないケースもあります。
そのため、腰痛を「腰だけの問題」と決めつけず、身体全体の動き方を確認することが大切です。もちろん、胸椎の動きだけで腰痛の原因を特定することはできません。
ここで紹介するチェックも診断ではなく、自分の身体の特徴を知るための一つの手がかりとして行ってください。
実際の動きと併せてご自身でも実践してみてください!
確認しながら動くことで適切な評価をすることが可能になります。
目次
腰痛身体チェック①「横向きで胸椎の回旋をチェック」
最初は、床に横向きになって行います。下半身を安定させた状態で上半身を回旋させることで、胸椎・胸郭や肩甲帯の動きを観察しやすくします。

①横向きで股関節・膝を曲げ、下半身を安定させます

②上側の肘を後方へ開くように、ゆっくり胸を回します。
実施方法
- 横向きに寝て、股関節と膝を曲げます。
- 下側の腕で頭を支え(腕枕)、上側の手を頭の後ろに添えます。
- 骨盤が大きく後ろへ倒れないようにしながら(おへそが正面)、上側の肘を後方へ開きます。
- 無理に開かず、痛みのない範囲で左右を比較します。
チェックポイント
- 右と左で回しやすさに差がないか
- 胸郭がスムーズに回っているか
- 肩甲帯が自然に動いているか
- 肩がすくんでいないか
- 骨盤まで一緒に倒れていないか
- 腰を反らして無理に回っていないか
- 痛みや違和感が出ないか
ポイント: 「どこまで回れたか」だけでなく、“どこを使って回っているか” を見てみましょう。 腰痛身体チェック②「アドレス姿勢で胸椎回旋をチェック」次は、実際のゴルフの姿勢に近い条件です。 前傾姿勢を保ちながら回旋するため、横向きのチェックとは違い、姿勢を支える力や股関節・骨盤との協調も必要になります。 |
① 普段に近いアドレスを取り、腕を胸の前でクロスします。

② 前傾をできるだけ保ったまま、ゆっくり一方向へ回旋します

③ 反対方向も同じように確認し、左右差を比べます

④ 横から見て、前傾が大きく崩れていないかも確認します。

実施方法
- 普段のアドレスに近い姿勢を作ります。
- 両腕を胸の前でクロスし、下半身をなるべく安定させます。
- 前傾姿勢を保ちながら、上半身を左右へゆっくり回します。
- 回旋の幅だけでなく、姿勢の崩れや痛みも確認します。
チェックポイント
- 左右の回旋の幅・回しやすさ
- 回すと身体が起き上がらないか
- 前傾姿勢を保てているか
- 骨盤が必要以上についてこないか
- 左右へ身体が流れないか
- 腰に痛みや違和感が出ないか
2つのチェック結果が違うことに意味があります!
今回、最も見ていただきたいのは「CHECK 1とCHECK 2の結果が同じかどうか」です。
例えば、横向きでは十分に回れるのに、アドレス姿勢になると急に回りにくくなる場合があります。横向きでは床が身体を支えてくれますが、アドレスでは自分で前傾姿勢を保ちながら回旋しなければなりません。
つまり、「回るための可動域があること」と「ゴルフの姿勢の中で、その回旋を使えること」は同じではありません。可動性だけでなく、姿勢を保つ能力、股関節や骨盤との協調、動作のコントロールなども関係します。
反対に、横向きでもアドレスでも同じ方向が回りにくい場合には、可動性そのものを含めて、より詳しく身体を評価する価値があります。
腰痛を繰り返すときは「痛い場所」だけで終わらせない
腰痛には、身体機能だけでなく、練習量、ラウンド頻度、疲労、既往歴、日常生活、スイングなど、さまざまな要因が関係します。ですから「胸椎が硬い=腰痛の原因」と単純に結びつけることはできません。
理学療法士として身体を見る際には、痛みの場所に加えて、胸郭・股関節・骨盤・足部などの動き、左右差、筋力、バランス、そして実際のゴルフ動作を組み合わせて考えます。
「昔から腰痛持ちだから」「ゴルフをすれば痛いのは仕方ない」と我慢を続けるより、なぜ負担が繰り返されているのかを一度整理してみることが、長くゴルフを楽しむための第一歩になります。
今回のチェックは、痛みを我慢して行うものではありません。次のような場合は無理に運動を続けず、医療機関での評価を優先してください。
- 強い痛みが続いている
- 安静にしていても痛みが強い
- しびれや力の入りにくさがある
- 転倒や急な動作の後から強く痛む
- 症状が徐々に悪化している
まとめ
腰が痛いと、どうしても「腰をほぐす」「腰を伸ばす」という発想になりがちです。
しかし、ゴルフは全身が連動するスポーツです。痛みのある場所だけではなく、その周囲や実際の動作まで見ることで、自分の身体の特徴がより分かりやすくなります。
まずは今回の2つのチェックを左右で比べてみてください。そして、横向きとアドレスで結果がどう変わるのかにも注目してみましょう。
痛みをごまかしながら続けることと、痛みがあるからゴルフを諦めること。その二択ではありません。自分の身体を知り、必要な対策を選びながら、できるだけ長く楽しくゴルフを続けていきましょう。
