トータルゴルフフィットネス 管理栄養士の中島です。
「また膝が痛む…」「肘の調子がイマイチで飛距離が出ない…」
皆さんもこの様な経験はありませんか?年齢を重ねるにつれて、関節の悩みを抱える方が増えます。湿布を貼ったり、マッサージに通ったり、とその場しのぎの対処法になっていませんか?
関節の健康を根本から支える強力な味方が、毎日の食事の中に隠れています。それが『脂質』です。『脂質=太る』というイメージを持つ方も多いでのではないでしょうか。しかし、適切な脂質の摂取が関節の炎症を抑え、あなたのゴルフライフを改善してくれる可能性があります!
今回は関節と脂質の関係について考えていきましょう!
目次
あなたのスイングは『関節』が支えている!
18ホールを回った後、膝や肘に違和感を感じることはありませんか?ゴルフは一見優雅なスポーツに見えますが、実は関節への負担が大きいスポーツです。
- 膝関節:歩行や傾斜地による負担、スイング時の捻れストレス
- 肘関節:インパクト時の衝撃、ダフリやトップによる過度な負荷
- 肩関節:フルスイングでの大きな可動域、反復動作による負荷
- 腰椎関節:回旋動作による捻じれストレス
この様に、ゴルフは様々な関節にストレスがかかります。これらの関節をいかに健康に保つかが、長くゴルフを楽しむ秘訣と言えます。
関節の救世主!『オメガ3脂肪酸』
関節の健康に関わる様々な栄養素の中で、今回注目するのは『オメガ3脂肪酸』です。この脂質には驚くべき抗炎症作用があります。
『オメガ3脂肪酸』がゴルファーにもたらすメリット
・炎症を抑制:様々な研究から、関節の炎症を軽減する効果が示されています(※1)。
・痛みの軽減:変形性股関節症等、慢性的な関節痛を軽減することが分かっています(※2)。
・関節の可動域を改善:定期的な摂取により関節の痛みを和らげることで、関節のスムーズな動きに繋がります。
こんな食材を食べましょう!
①青魚(サバ、イワシ、サンマ):週2-3回
→塩焼きや刺身など、そのまま食べてももちろんOKですが、サバ缶を使ったサラダやパスタが手軽です。料理するのは大変、、、という方は、最近はコンビニなどでレンジで温めるだけの焼き魚も売っています。
②亜麻仁油、えごま油:ティースプーン1杯を毎日
→熱に弱いので加熱調理は避けていただくことをおすすめします。サラダのドレッシングに混ぜたり、ヨーグルト、納豆などに入れても料理の邪魔をしないのでおすすめです。
③クルミ、チアシード:おやつ(補食)として!
→クルミはそのままで美味しいので、片手一握り分を目安に食べましょう。ヨーグルトのトッピングにしたり、軽く砕いてサラダにかけることもおすすめです。チアシードは10分程度水に浸すことで、腸内における吸収を促すことができます。満腹感も促すことができ、食事の食べ過ぎを防ぐ効果もあります。
避けるべき『関節の敵』
『トランス脂肪酸』は炎症の元凶
みんな大好き、おやつについ手が伸びてしまうマーガリンたっぷりのパンや揚げ物。これらに含まれるトランス脂肪酸は体内の炎症を促進します。WHO(世界保健機関)は、トランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満にすることを推奨しています。和食中心の日本人がこの量を超えることは少ないと考えられますが、加工食品ばかりを食べる傾向にある方は注意が必要です。せっかく食べたオメガ3脂肪酸の効果を打ち消してしまいます。
『体重管理』も関節ケアの一部
過剰な体重は関節に負担がかかります。特に膝関節への負担を増大させることが分かっています。観察研究ではありますが、関節炎を発症した対象者のうち、一定の期間に体重が10〜20kg増加した群では33%、20kg増加した群では56%発症率の増加が見られました。体重変化のない群(±2.5kg以内)と比較して、関節炎発症率が高いという結果が得られました(※3)。急激な体重増加は関節に悪影響を及ぼすことが分かります。
ゴルファーのための食事戦略はこれ!
理想的な『オメガバランス』
オメガとは、脂質の主要な構成成分である『脂肪酸分類』のことを示し、オメガ3・6・9が挙げられます。これらの中で、現代人は特にオメガ6(植物油など)を過剰摂取しがちです。オメガ3とオメガ6には理想的な比率が存在し1:2と言われます。しかし、現代の食事ではこれらの比率はなかなか難しいと言えます。まずは1:4を目標に、意識的にオメガ3脂肪酸を増やしましょう!
・朝食のヨーグルトにチアシードを入れる。
・ラウンド中のお昼は焼き魚(サバなど)定食を選ぶ。
・夕食のサラダに亜麻仁油をかける。
などなど、日常的に魚介類や植物オイル、ナッツなどを積極的に摂り入れましょう!
まとめ:食事でゴルフライフを変えよう!
関節の健康は一朝一夕では築けません。しかし、毎日の食事を少し意識するだけで、3ヶ月後のあなたのスイングは確実に変わっているはずです。
美しいスイングは健康な関節から生まれます!今日からオメガ3を意識した食生活をすることで、生涯現役ゴルファーを目指しましょう!
それぞれの栄養素における目標値には個人差があり、個々の目標や身体の状態によって適正値は変化します。 TGFでは管理栄養士の中島が、皆様それぞれに適した摂取量をご提案させていただきます。是非館内またはホームページを含む各種SNS等からご相談ください。
引き続き様々な観点から、ゴルファーの為の栄養学についてご紹介させていただきます!
【参考文献】
※1:Calder, P. (2017). Omega-3 fatty acids and inflammatory processes: from molecules to man.. Biochemical Society transactions, 45 5, 1105-1115 . https://doi.org/10.1042/BST20160474.
※2:Deng, W., Yi, Z., Yin, E., Lu, R., You, H., & Yuan, X. (2023). Effect of omega-3 polyunsaturated fatty acids supplementation for patients with osteoarthritis: a meta-analysis. Journal of Orthopaedic Surgery and Research, 18. https://doi.org/10.1186/s13018-023-03855-w.
※3:Nan, K., Zhang, M., Hu, S., Shao, X., Liu, L., Zhi, Y., & Xu, P. (2024). Relationship of weight change patterns from young to middle adulthood with incident rheumatoid arthritis and osteoarthritis: a retrospective cohort study. Frontiers in Endocrinology, 14. https://doi.org/10.3389/fendo.2023.1308254.