トータルゴルフフィットネス 管理栄養士の中島です。
2月が旬の野菜といえば、皆さんは何を思い浮かべますか?私がおすすめする旬の野菜はブロッコリーです。弁当の彩り、炒め物のかさ増し、あるいは子どもに食べさせたい野菜——そんなイメージが先行しがちなブロッコリーですが、近年の食品科学はその評価を大きく塗り替えつつあります。
2022年食品科学の世界的な学術誌『Trends in Food Science & Technology』に、ブロッコリーの栄養価・健康効果・食品応用に関するレビュー論文が掲載されました(Li et al., 2022)。世界中の関連研究を網羅したこの論文によると「ただの緑黄色野菜」という常識をはるかに超えたスーパーフードであることが示されました。
花も茎も葉も——ブロッコリーは全部が宝

私たちが普段食べているのはブロッコリーの花蕾(つぼみの集まり)と茎の一部です。しかし論文が指摘するのは、捨てられがちな茎・葉・新芽・種子のすべてが異なる栄養価の特徴をもつという点です。
- 葉 ― クロロフィルやポリフェノールが特に豊富で、抗酸化活性が最も高い部位です
- 新芽(スプラウト) ― 「グルコラファニン」含有量が花蕾の数十倍にも達し、健康機能性の観点から近年特に注目されています
- 種子 ― 他の部位と異なり脂質を豊富に含んでいます
- 花蕾 ― ビタミンC・K・葉酸のすぐれた供給源です
旬の時季に手に入る丸ごとのブロッコリーなら、捨ててしまいがちな茎や葉も積極的に活用したいです。
スルフォラファン

ブロッコリーに含まれる成分の中で、研究者たちが最も熱い視線を注いでいるのがスルフォラファンです。これはグルコシノレートという前駆体が、咀嚼や加工によって変換されて生まれる生理活性物質です。ブロッコリーをはじめとするアブラナ科野菜に特有の成分です。
論文によると、スルフォラファンは体内の抗酸化システムを活性化し、さまざまな疾患リスクの低減に関わることが示されています。がん予防・抗炎症・神経保護・腎保護といった方向性での研究が世界中で進んでおり、臨床試験でも一定の有効性が確認されつつあります。
特筆すべきは、スプラウト(発芽3〜5日)の段階です。スルフォラファン前駆体の含有量が最大になります。近年スーパーで見かけるブロッコリースプラウトは、見た目の小ささに反して機能性成分が濃縮しています。
調理法で変わる!栄養素の生かし方

ブロッコリーは体に良いと知っていても、調理法を誤ると有効成分が大きく損なわれてしまいます。最適な食べ方を整理しましょう。
蒸す・電子レンジ加熱がおすすめです。水溶性のビタミンCやポリフェノールは茹でると煮汁に溶け出してしまいます。蒸し調理では抗酸化活性とスルフォラファン含量を維持しやすいことが研究で示されています。茹でる場合は、短時間・少量のお湯で加熱し、茹で汁もスープに活用するのがよいでしょう。
冷凍には注意が必要です。市販の冷凍ブロッコリーは製造過程のブランチング(加熱処理)でミロシナーゼという酵素が不活化され、スルフォラファンへの変換効率が落ちることがあります。生のブロッコリーが手に入る今の時季は、フレッシュなものが一番です。
腸内環境・代謝・免疫

ブロッコリーの有益性はがん予防にとどまりません。食物繊維が豊富で腸内環境の改善に寄与するほか、血糖や脂質の代謝調節への関与も報告されています。
またビタミンC・E・カロテノイドといった抗酸化成分が免疫機能をサポートし、ビタミンKは骨代謝に欠かせません。さらに神経系や腎臓の保護作用を示す研究もあり、ブロッコリーはまさに全身に働く野菜と呼ぶにふさわしい存在です。
最後に
2月の今、店頭に並ぶブロッコリーは締まっていて緑が最も濃く、風味も栄養価も充実しています。科学が積み重ねた知見は、先人たちが経験的に知っていたことを裏づけています——この野菜は、ただおいしいだけでなく、体を守る力を持っています。
茎を捨てず、蒸して食べ、スプラウトも取り入れてみてください。旬の恵みを、丸ごと受け取っていただければ幸いです!
参考文献:Hang Li et al., “Nutritional values, beneficial effects, and food applications of broccoli (Brassica oleracea var. italica Plenck)”, Trends in Food Science & Technology, 2022.

