トータルゴルフフィットネス 管理栄養士の中島です。
「昨夜しっかり寝たつもりなのに、後半のラウンドで集中力が途切れてしまった」
「ここぞというパットで体が思うように動かない」――皆様はこの様な経験がありませんか?
ゴルフは1日を通じて高い集中力と精密な身体のコントロール、的確な状況判断が求められるスポーツです。よって、パフォーマンスを維持するためには睡眠が重要でです。そして、その睡眠の質を左右するのが日々の食事です。
今回は2025年に『Nutrition Journal』に掲載されたパテル氏らのレビュー論文(Patel and Cheung, 2025)を参考に、ゴルファーが明日からのラウンドでベストを尽くすための栄養と睡眠の関係について解説します!
睡眠の質を高めるのは『地中海食』
研究では、健康的な食事パターンの代表格である地中海食と、食事の時間をコントロールする時間制限摂食(クロノニュートリション)が睡眠に与える影響を比較しました。その結果、睡眠の質を最も安定して向上させたのは地中海食でした。
地中海食とは、主に以下の食材を中心とした食事法です。
全粒穀物、野菜、果物、豆類、ナッツ類
魚や鶏肉(良質なタンパク質源)
オリーブオイル(植物性脂質)
赤身肉の摂取は控えめにする
地中海食に近い食事の人ほど、睡眠の質が良く、夜間の目覚めが少なく、睡眠効率が高い(布団に入っている時間に対して、実際に眠れている時間の割合が高い)ことが分かりました。質の高い睡眠は、身体の回復だけでなく、脳をリセットするために重要です。戦略を組み立てる認知機能や、スイングを安定させる運動機能を維持するために不可欠と言えます。
なぜ『地中海食』が睡眠を向上させるのか

地中海食が睡眠を改善するメカニズムはいくつか考えられています。
睡眠ホルモンの分泌をサポートする
地中海食に豊富に含まれるナッツ類や魚などの食材には、リラックスを促すセロトニンや、睡眠を調節するホルモンであるメラトニンの材料となるトリプトファン、そして筋肉の弛緩に関わるマグネシウムといった栄養素がバランスよく含まれています。これらが体内でスムーズに働き、自然な入眠を助けると考えられます。体内の炎症を抑える オリーブオイルや魚に豊富に含まれる多価不飽和脂肪酸や、野菜・果物のポリフェノールには強い抗炎症作用があります。慢性的な体内炎症は睡眠の構成を乱すことが分かっており、これを食事で抑えることで、深い睡眠(ノンレム睡眠)を得やすくなります。
たんぱく質や糖質の「適量」を意識する
特定の栄養素が多すぎても少なすぎても、睡眠障害につながることが指摘されています。
タンパク質: 不足すると寝付きが悪くなり、逆に多すぎると(総エネルギーの19%以上)夜間に目が覚めやすくなります。食事でたんぱく質を摂る場合過剰のリスクは高いとは言えませんが、サプリメントやプロテインには注意が必要です。
炭水化物(糖質): 極端な高糖質食は睡眠の質を下げますが、逆に過度な糖質制限(10〜20%未満)も睡眠維持に支障をきたす(夜中に目が覚める中途覚醒が起きる)可能性があります。食物繊維が豊富な全粒穀物(玄米や全粒粉パン)などから質の高い炭水化物を適量摂ることが、深い睡眠を増やす鍵となります。
「いつ」食べるか

昨今ブームとなっている「16時間断食」や「時間制限摂食(TRE)」などのクロノニュートリション(体内時計を考慮した栄養学)については様々な意見があります。しかし、現状睡眠の質そのものを直接、かつ劇的に高める決定的な証拠はまだ限定的と考えます。しかし、食事の時間を一定に保つことは体内時計を整える点で役に立ちます。また、間接的に減量をサポートし、睡眠時無呼吸症候群などのリスクを減らすことで睡眠を助ける効果は期待できます。
ゴルファーの皆様は朝も早いことが多いと思います。就寝直前の重い食事は避けましょう。夜遅い時間に消化に悪いものや脂質の多いものは避けることをおすすめします。
明日のスコアに繋げる!ゴルファーのための食事&睡眠習慣
今日から、食事を召し上がる際には以下の3つのポイントを意識してみましょう!
夕食は「魚・オリーブオイル・野菜」をベースに
肉や米だけの夕食ではなく、焼き魚やカルパッチョ、ナッツを添えたサラダなど地中海食の食材を摂り入れましょう。この習慣が、寝ている間の身体の修復や脳のリセットに繋がります。ラウンド前夜は腹八分目、就寝3時間前までに夕食を終える
前夜に遅くに大量の食事をしたり、どんな食材であってもドカ食いはNGです。胃腸を休めた状態で布団に入ることが、すっきりとした朝の目覚めにつながります。スナックには「ナッツ」や「バナナ」を
ラウンド中のエネルギー補給や、夕方の小腹満たしには、トリプトファンやマグネシウム、食物繊維が豊富なナッツ類やフルーツを選ぶのがおすすめです。
ゴルフのパフォーマンスアップのためには練習ももちろん重要ですが、土台となる身体を作る食事も大切です。次のラウンドで18ホールを最高の集中力で回りきるために、まずは今夜の「お皿の上」から、睡眠改革を始めてみませんか?
■ 参考文献(References)
Monika Sejbuk, Iwona Mirończuk-Chodakowska, and Anna Maria Witkowska. (2022). “Sleep Quality: A Narrative Review on Nutrition, Stimulants, and Physical Activity as Important Factors.” Nutrients, 14(9), 1912.
Anshum Patel and Joseph Cheung. (2025). “The effect of mediterranean diet and chrononutrition on sleep quality: a scoping review.” Nutrition Journal, 24, 31.




