トータルゴルフフィットネス 管理栄養士の中島です。
日頃、館内で皆様とお話ししていると、ゴルフに関するお悩みとして特によく耳にすることがあります。
「以前より飛距離が落ちてきた」
「ラウンド後半になると、疲れて思うようなプレーができない」
年齢を重ねても、飛距離を維持したい、もっと飛距離を伸ばしたい。
18ホール最後まで集中力と体力を保ち、気持ちよくプレーしたい。
そして、ラウンド翌日に疲れを残さず、元気にゴルフを楽しみたい。
多くのゴルファーが感じる願いですよね。飛距離や疲労というと、スイングの改善やトレーニングに目が向きがちです。しかし、実は毎日の食事も身体のコンディションを左右する大切な要素です。
そこで今回は、日本の食文化を活かして身体を内側から整える「和味(なごみ)薬膳」の視点から、飛距離を支える身体づくりや疲労回復に役立つ食の力について、いくつかの研究結果を交えてご紹介します。
1.上がり3ホールでミスが増える…。原因は「身体」だけではありません!

前半は調子が良かったのに、15番を過ぎたあたりから
「距離の計算を間違える」
「普段ならしないクラブ選択をしてしまう」
「短いパットの集中力が切れる」
ラウンド終盤のパフォーマンス低下には、脚や腰の疲れだけでなく、長時間考え続けることによる脳の疲労も関係しています。ゴルフは残り距離、風、傾斜、ライ、ピン位置、ミスした場合のリスク……。一打ごとに様々な要素に頭を使い、最適な一打を判断します。だからこそ、最後までスコアを崩さないために、筋肉だけでなく考え続けられるコンディションをつくることが大切です。
そこで取り入れたいのがかつお出汁です。かつおに含まれるアミノ酸の一種ヒスチジンは、疲労感や認知機能との関係が研究されています。また、BCAAをはじめとする必須アミノ酸を適切に摂取することが、筋肉量や身体機能を維持するうえで重要です。昔ながらの「出汁をとる」という習慣は、単に料理を美味しくするだけではありません。日々のコンディショニングを支えてくれる食習慣のひとつと言えます。朝食に出汁の効いた味噌汁を一杯。特別な準備をしなくても、毎日の生活に取り入れることで、ラウンドの調子を整えることに繋がります。
2.「筋肉」だけでなく「腸」に注目

筋肉をつけるために材料となるタンパク質を摂ろう!というのは良いことです。しかし、肉や魚、卵、プロテインなどから栄養を摂っていても、身体の状態が整っていなければ、その栄養を十分に活かすことはできません。そこで近年注目されているのが、腸内環境と筋肉の関係です。
ゴルフスイングでは、腹筋群、殿筋群を代表とした多くの筋肉を連動させます。特に50代以降は「筋肉を増やす」だけでなく、今ある筋肉をいかに維持するかという視点が重要になります。そこでゴルファーにおすすめしたいのが発酵食品である味噌です。味噌などの発酵大豆食品については、腸内環境や筋肉の健康との関係が研究されています。また、植物性タンパク質や発酵食品を取り入れた食生活は、腸内細菌の多様性という観点からも注目されています。日々の生活に取り入れやすいのが具沢山の味噌汁です。
例えば、
・豆腐、わかめ、きのこ、ねぎ
・豚肉、大根、にんじん、ごぼう
・鮭、きのこ、白菜、にんじん
この様に具材を増やすことで、タンパク質、野菜、ミネラルをまとめて摂ることができます。朝食や夕食に一杯加えるだけで、特別な用意をする必要もありません。毎日の味噌汁は単なる和食の一品ではなく、腸内環境を整えるうえで重要です。
3.ラウンド翌日に疲れを残さない!「生姜」と「ベリー」でリカバリー

ゴルフは18ホールを歩きながら、スイングを何十回も繰り返します。プレー中は夢中になっていることもあり、思ったほど疲れを感じない方も多いかもしれません。しかし、ラウンド後のカラダには少なからず疲労が残っています。次の日まで疲れを残さないためにも大切なのが、ラウンド後の食事です。ゴルフ後のリカバリーを助ける食材を2つご紹介します。
身近な食材なら「生姜」
生姜に含まれる成分は、炎症や筋肉痛、関節の不快感との関係について研究されています。味噌汁に少し加える、豚肉の生姜焼きにする、スープや鍋に加える、こういった工夫で日常的に取り入れることが可能です。
ラウンド後には「ベリー類」がおすすめ
ブルーベリーやチェリーなどに含まれるアントシアニンは、抗酸化作用を持つポリフェノールの一種です。運動後の筋肉痛や筋機能の回復との関係について研究が進められています。ラウンド後や翌朝に、ヨーグルトとブルーベリーという組み合わせなら、手軽に取り入れることができます。ここにはちみつを加えたものを、私もおやつの代わりによく摂っています。
トレーニング、レッスン、ストレッチ、どれもゴルフ上達には大切です。しかし、その土台となる身体を毎日つくっているのは、やはり日々の食事です。
今回ご紹介した、かつお出汁、味噌、生姜・ベリー類などはいずれもスーパーで手軽に手に入るものばかりです。
特別なものを一度だけ食べるよりも、身体に良いものを無理なく、毎日の食卓に取り入れましょう。それが「和味薬膳」の考え方です。次のラウンドで良いスコアを出すために。そして、10年後、20年後も元気にティーグラウンドに立つために。トレーニングやスイング練習と同じように、ぜひ今日から「食事もゴルフの一部」として考えてみてください。美味しく食べながら身体を整え、生涯現役で自己ベストを目指しましょう!
参考文献
[1] Sasahara I, et al. (2015) かつお出汁・ヒスチジンと疲労・認知機能に関する研究
[2] Robbins R, et al. (2025) BCAAと運動によるシニア層の身体機能への影響に関する研究
[3] Hashimoto Y, et al. (2023) 発酵大豆食品と筋萎縮・腸内環境に関する研究
[4] Kimble R, et al. (2023) アントシアニン摂取と運動後のリカバリーに関する研究
[5] Broeckel J, et al. (2025) 生姜摂取と炎症・筋肉および関節の不快感に関する研究

